_02.png)入る]
博物館《はくぶつかん》には皆《みな》さんの知《し》つてゐるように、種々《しゆ/″\》の品物《しなもの》が竝《なら》べてありますが、たいていはある種類《しゆるい》のものばかりを選《えら》んで、陳列《ちんれつ》してあるのです。例《たと》へば東京《とうきよう》の上野公園《うへのこうえん》や、奈良《なら》にある帝室博物館《ていしつはくぶつかん》とか、また京都《きようと》の恩賜京都博物館《おんしきようとはくぶつかん》などには、古《ふる》い繪畫《かいが》や彫刻《ちようこく》や、陶器《とうき》などのような美術品《びじゆつひん》ばかりが陳列《ちんれつ》してあります。このように美術品《びじゆつひん》ばかりを陳列《ちんれつ》する博物館《はくぶつかん》を美術博物館《びじゆつはくぶつかん》あるひはこれを略《りやく》して美術館《びじゆつかん》とも呼《よ》びます。それから歴史《れきし》に關係《かんけい》ある品物《しなもの》ばかりを陳列《ちんれつ》した博物館《はくぶつかん》は歴史博物館《れきしはくぶつかん》といひます。また鑛物《こうぶつ》や動植物《どうしよくぶつ》のような博物學《はくぶつがく》に關《かん》する標本類《ひようほんるい》ばかりを陳列《ちんれつ》してある所《ところ》は博物學博物館《はくぶつがくはくぶつかん》といふことが出來《でき》ます。その他《ほか》貝殼《かひがら》ばかりを竝《なら》べた貝類博物館《かひるいはくぶつかん》、電氣《でんき》に關《かん》するものを竝《なら》べた電氣博物館《でんきはくぶつかん》といふように、陳列品《ちんれつひん》の種類《しゆるい》は大《おほ》わけにも小《こ》わけにも隨意《ずいい》に區別《くべつ》することが出來《でき》ます。
[#「第二圖 京都恩賜博物館」のキャプション付きの図(fig18371_03.png)入る]
私達《わたしたち》の知識《ちしき》を廣《ひろ》め學問《がくもん》の爲《ため》になる品物《しなもの》は千差萬別《せんさばんべつ》で、その種類《しゆるい》は實《じつ》に無限《むげん》に多《おほ》いのでありますから、これをみんな一《ひと》つの場所《ばしよ》に集《あつ》めて陳列《ちんれつ》することは容易《ようい》でありませんし、またさうした博物館《はくぶつかん》をこしらへるには非常《ひじよう》に大《おほ》きな建《た》て物《もの》が入《い》る、それを見《み》て廻《まは》るだけでも二日《ふつか》も三日《みつか》もかゝり、かへって不便《ふべん》になります。だから世界《せかい》のどの國《くに》でも、陳列物《ちんれつぶつ》の種類《しゆるい》によつて博物館《はくぶつかん》をわけてをります。それで大《おほ》きくわける場合《ばあひ》はたいてい前《まへ》に申《まを》した美術《びじゆつ》や歴史《れきし》に關《かん》するものを一《ひと》まとめにしたものと、博物學《はくぶつがく》に關《かん》するものを一《ひと》まとめにしたものとの二種類《にしゆるい》に區別《くべつ》するのでありまして、この二《ふた》つの博物館《はくぶつかん》がたいてい違《ちが》つた場所《ばしよ》につくられてをります。そのほか陳列品《ちんれつひん》を小《ちひ》さく區別《くべつ》した特別《とくべつ》の博物館《はくぶつかん》がたくさんあることは申《まを》すまでもありません。もちろん大《おほ》きな博物館《はくぶつかん》の建《た》て物《もの》は立派《りつぱ》であつて、その國《くに》や町《まち》の飾《かざ》り物《もの》としては結構《けつこう》でありますが、これを見物《けんぶつ》する人《ひと》や勉強《べんきよう》する人達《ひとたち》には不便《ふべん》が多《おほ》いのですから、それよりも小《こ》じんまりとした博物館《はくぶつかん》で、内容《ないよう》の整《とゝの》つたものゝ方《ほう》がよいといふことになるのであります。ちょうど皆《みな》さんの學校《がつこう》でも、あまり大《おほ》きい學校《がつこう》はかへって勉強《べんきよう》に不便《ふべん》のことがあるのと同《おな》じです。
(ロ) 博物館《はくぶつかん》の施設《しせつ》
[#「第三圖 奈良帝室博物館」のキャプション付きの図(fig18371_04.png)入る]
博物館《はくぶつかん》は、最初《さいしよ》にも申《まを》したとほり、たゞ珍《めづら》しいものや美《うつく》しいものをたくさんに竝《なら》べるといふところではなくて、それらがあるひは年代《ねんだい》の順《じゆん》に、あるひは地方《ちほう》の別《べつ》にといふふうに、品物《しなもの》を順序《じゆんじよ》よく系統《けいとう》を立《た》てゝ竝《なら》べ、これを見《み》る人《ひと》が知識《ちしき》を廣《ひろ》め學問《がくもん》をするために作《
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