別《べつ》に進歩《しんぽ》してゐませんけれども、それにもあるように文字《もじ》のようなものを、石《いし》に朱《しゆ》で書《か》いたものがあるのは珍《めづら》しいと思《おも》ひます。(第二十二圖《だいにじゆうにず》左下《ひだりした》)
[#改ページ]

     三、新石器時代室《しんせつきじだいしつ》

      (イ) 貝塚《かひづか》と湖上住居《こじようじゆうきよ》

 舊石器時代《きゆうせつきじだい》と新石器時代《しんせつきじだい》とは、人種上《じんしゆじよう》にも文化上《ぶんかじよう》にも關係《かんけい》がなくて、かけ離《はな》れた別《べつ》のものであるといふふうに、今《いま》までの人《ひと》は多《おほ》く思《おも》つてゐましたが、近頃《ちかごろ》は、この舊新兩石器時代《きゆうしんりようせつきじだい》の間《あひだ》には聯絡《れんらく》があつて、けっして無關係《むかんけい》のものとすることが出來《でき》ないといふふうに、だん/″\考《かんが》へられて來《き》たのであります。そしてまた學者《がくしや》の中《なか》には、この二《ふた》つの時代《じだい》の間《あひだ》に、中石器時代《ちゆうせつきじだい》といふ中間《ちゆうかん》のものを置《お》く人《ひと》もあります。それはとにかく、新石器時代《しんせつきじだい》は舊石器時代《きゆうせつきじだい》と比《くら》べて、人種《じんしゆ》の上《うへ》にも文化《ぶんか》の上《うへ》にも餘程《よほど》違《ちが》つたものがあり、この時代《じだい》になると、人種《じんしゆ》はもちろん現在《げんざい》の世界《せかい》の人種《じんしゆ》とまったく同《おな》じ種《しゆ》に屬《ぞく》してゐるし、その他《ほか》自然界《しぜんかい》の状態《じようたい》も非常《ひじよう》に今日《こんにち》と接近《せつきん》して來《き》ました。それで石器《せつき》を使用《しよう》したといふ點《てん》においては舊石器時代《きゆうせつきじだい》と變《かは》りはありませんが、その人種上《じんしゆじよう》からも、また一般文化《いつぱんぶんか》の上《うへ》から見《み》ますと、かへって後《のち》の青銅器時代《せいどうきじだい》と深《ふか》い關係《かんけい》があるのであります。また新石器時代《しんせつきじだい》のつゞいた年代《ねんだい》は舊石器時代《きゆうせつきじだい》に比《く
前へ 次へ
全145ページ中40ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
浜田 青陵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング