若い娘さん達の組踊數番があつたが、凡て踊り手は足袋はだしか、或は全くの裸足である。
 私自身よりも郷土研究家島袋君が、大いに感服して眺め入つて居られたが、日はだん/\西の海に沈んでしまふ有樣に、村の衆に此の類なき厚意を感謝し、別を惜んで那覇に向つたが、私は此親切純朴な恩納の人々の厚意を永久に心に銘じて忘るゝ事が出來ない。

          二〇 辻遊廓の瞥見

 歸途は海沿ひの街道を嘉手納に出で、始めて輕便鐵道の列車の走るのを見た。街道筋には廣い道幅のある村落があり、又大きな松の並木が續いて居る中を、時々すれ違ふ自動車のヘッドライトに、假睡に落ちようとする眼を醒させながら、那覇の町へ這入つたのは午後七時過ぎ、二日ぶりに電車の走るのを見るのも、流石に都らしく懷かしい思ひがした。
 南は糸滿から南山城、北に名護運天から北山城をも訪ね得た私は、これで先づ/\琉球一見の目的を達したのを喜んだが、宿まで送り届けて下さつた小竹君は、イヤ未だ一つ重要な見物場處が殘つてゐる。それは即ち有名な辻遊廓である。御疲れでなくば後から御案内致しませうとの事に、如何にも那覇に到著以來、毎々聞かされた此の遊廓を
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