この心を
誰がはばみえよう
滅びゆく日本の上に新しい戦争への威嚇として
原爆の光りが放たれ
国民二十数万の命を瞬時に奪った事実に対し
底深くめざめゆく憤怒を誰が圧《おさ》ええよう
この図のまえに自分の歩みを誓わせ
この歴史のまえに未来を悔あらしめぬよう
[#改ページ]
あとがき
私は一九四五年八月六日の朝、爆心地より三千米あまり離れた町の自宅から、市の中心部に向って外出する直前原爆を受け、硝子の破片創と数ヵ月の原爆症だけで生き残ったのであるが、その時広島市の中心より約二千米半径以内にいた者は、屋内では衝撃死又は生埋めにされたまま焼死し、街路では消滅、焦死あるいは火傷して逃れたまま一週間ぐらいの間に死に、その周辺にいた者は火傷及び原爆症によって数ヵ月以内に死亡、更にそれより遠距離にいた者が辛うじて生き残り、市をとり巻く町村の各家庭では家族の誰かを家屋疎開の跡片づけに隣組から出向かせていたため骨も帰らぬこととなった。またその数日前ある都市の空襲の際撒かれたビラによるという、五日の夜広島が焼き払われるという噂や、中学校、女学校下級生たちの疎開作業への動員がこの惨事を更に悲痛なも
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