と渡り廊下を渡って叔母達の室である茶室に退去しました。そこで一時頃までブリッジをつづけました。
「又明日、おやすみなさい」
私と信二郎は夜風のふき通しの渡り廊下を走るようにして戻って来ました。母はうすぐらいところで東京の叔母のところへ手紙をかいておりました。肩越しにのぞくと、私の結婚の依頼がながながとかかれてありました。私は苦笑しながら自分の部屋にはいり、ふと結婚についてかんがえだしました。二十五だという年齢がまっさきに頭に浮びます。婚期とは幾つにはじまって幾つに終るのか、ともかく私はもう若くもないと思っておりました。今迄、何をしていたのでしょう。同級の人達は随分お嫁に行ってます。子供までいる人も少なくありません。未だ一人でいる人は一人なりに学校の先生をするなり、会社で秘書をするなり、それぞれはっきりとした生き方をしております。私だけがあぶはちとらずな、どうにも動きようのない恰好でいるじゃありませんか。私は「女性失格」だろうと自分でそう思います。今迄、縁談は数える程しかありませんでした。みんなことわられてしまっておりました。一番最初の縁談の時、私はまだ廿歳前で元気一杯でおりました。相
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