うテーマだそうで、私は、その中に加入されたと云うことを、甚だ侮辱にとって、ガチャリと受話器を置いた。「入梅」から、四作目が、「落ちてゆく世界」という七十枚の小説である。これは、VIKINGにのる前に、島尾氏の紹介で、若杉慧なる人に会い、彼がみせて下さいと持ってゆかれた。(島尾氏が直接若杉氏に手渡されたようでもある)暮であったか正月であったか、とにかく寒い日に、私は若杉氏の家を訪問した。彼の目は、蛇のようだと思った。そして、VIKING族の方が、よっぽど愉快だと感じた。若杉氏は、「落ちてゆく世界」を書きなおせ、そして文芸首都におくるようにと云われた。(その題は若杉氏がつけたものである。私は、そんな気のきいた題はつけていなかったようだ)はい、と云って帰宅し、清書して、東京へおくり、あかんと云われてかえされたのが二月末。それをそのまま、V誌にのせたのだ。偶然、その作が、作品社の八木岡氏の目にとまり、五月末に、電報が来た。「作品」春夏号に掲載すると云うのである。私は、よろしくたのむと電報を打った。それが、「ドミノのお告げ」と題されて、「作品」に発表されたのが、七月のはじめである。正直なところ、
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