る変な恋愛を深めて行った。
学校での労働はますばかりであった。日曜日も作業があり、馬糞を荷車につんで運んだり、畠仕事や防空用水の水汲みなどをやった。勉強の時間はわずかになり、英語は全くなくなってしまった。数学は相変らず出来が悪く、級長は看板か、と毎時間しかられた。裁縫もその通りで、どんなにきれいに縫ってみたいと思っても何度も何度もほどきなおしをせねばならなかった。
しかし私は真面目な生徒として先生間にもてていた。役目がらの義務観念より仕方なく真面目さを装わなければならなかったというだけで、自分自身拘束された身動きとれぬ恰好があわれっぽいとも感じた。やはり、規律とか秩序が窮屈であった。以前のように、なに臆するところなく飛びまわりたいという気持は絶えずあったわけなのだ。しかしもうその頃、子供の領域を脱していたから、縦横無尽に動くことは出来ないのだという諦めも半分あった。
私の隣の席に熱心なカトリック信者がいた。アリーよりももっと独断的な信仰の持主で、私をしきりにカトリックへとひっぱった。教会へゆく人は教会へゆく度に一人ずつ信者をふやす義務があるようにさかんに彼女は級友を勧誘していた。
前へ
次へ
全134ページ中56ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
久坂 葉子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング