者だとか、てらっているだとか、傲慢だとかいろんな解釈をつけて非難した。数珠を腕にからませることは、みっともないとも母に云われた。しかし、かえって人々の反対が、私の信仰を強くしたのかも知れない。とにかく、半年の間は、私は迷うことさえしなかった。
第四章
卒業式が来た。感傷的な別れの歌の旋律や、読み上げられる言葉などに、私のまわりの女の子はしくしくと泣き出した。私は涙さえ忘れていた。人が別れたり或いは死んだりすることは当然の出来事のように思われていたのだ。小学校の門を出てすぐに入学試験が行われた。それは日だまりがまだ恋しい気候であった。私は近所の私立の学校へ受験した。姉と別の、程度の低い学校であった。山の中腹にある新しい建築の歴史の浅い学校であった。
襞の多い長い紺色のスカートを着た女学生が、私達を順番に面接の部屋へ案内してくれた。彼女達は何故か不潔に見えた。前へかがみながらゆっくり歩く姿勢や、うすい膜をはった中から出すようなその音声や、やたらに止ピンの多い長い髪の毛などが、優美である筈なのに私には不潔なものだとしか思えなかった。口答試問ばかりで四つの部屋があり、第一の部
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