々教えてくれた。私はどうしても信じられなかった。学期はじめの体格検査の時に、アリーはふっくらしたお乳を私にみせた。私はそれを思いきりつかんだ。アリーはいたいのだと叫び声をあげた。その時から私はアリーに今までのように親しくすることが出来なくなった。そして、だんだんアリーを敬遠するようになった。アリーも又、私なんかと喋っても面白くないというような顔付をして、殆ど口もきかなくなってしまった。私は、少女らしい感傷にふける毎日を送った。何カ月かたって初夏が来た頃、自分の両方のお乳もふくらんでくることに気がついた。ほんの少しのふくらみであり、寝床にはいってさわってみると飛び上るほど痛かった。私はいつまでも子供でいたいのに、と必死になってねがってみたりした。

 最上級の一歩手前になった私達は、学校の仕事のおすそわけをいただいて、級の中から四五人、赤い腕章をつけることになり、私も辛うじてその中にはいった。腕章をつけることが大へん嬉しくて、家へ帰っても取りはずさなかった。担任の先生は、大人しい若い男の人だった。で私達は教室でさっぱり真面目にしなかった。ノートの後側から、紙をびりびり破ってゆき、それに手
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