青年紳士であった。
第八章
突然、私は自分がいろいろなことに抵抗して生きていることを苦痛に思った。ある日、雨がかなり降っている午後であった。雨の日は来客が比校的少なくて受付は閑散であった。不要になった書類を裏がえして、いたずら書をしていた時のことである。殆ど突発的に私は自分の力がなくなってしまったことに気付いた。空虚な日常のように思えた。ロボットのような自分であると考えた。今まで逆流の中に身をささえて力強く給仕をしているとみせかけていたことが滑稽になって来た。わざわざ抵抗しなくてもよいものを。そうすることは自分からわざわざ苦痛を受けようとしていることなのだ。
衝動的に、私は死への誘惑を感じた。分家氏への愛情も凡そ無駄なナンセンスなことである。姉への嫉妬――私は姉が自分の意志を通して、幸福(これはその時そう感じたにすぎないが)な結婚をしたことに対して無性に腹立しく思っていた。私には恋愛すら出来ない。人を愛しても私は愛されない。愛される資格のようなものは皆無である。姉は容姿も美しく、頭脳だってきびきびしている。それに、女らしさと女のする仕事を何でもやってのける。きちんと学
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