も、よくお酒をのむ人でした。よく二人でのみました。しかし、いつも笑って握手をしてさよならしたものでした、勿論、私がすねてお説教をくらったこともあります。私がいらいらして、怒ったこともあります。でも別れる時は、笑顔だったのです。私は、自分が緑の島を思い出したことに対して、ひどく又自分をいじめました。重い気持で電車にのったのです。
もう、鉄路のほとりとは、まったくつながりがたたれたように思えました。でも、私はやはり彼を愛しているのです。その日帰宅してからも、電話がかからないかと待っておりました。そして、机にむかい、彼に速達をしたためました。
あなたの愛情が感じられなくなったと。
もうおしまいのようだと。そして、お返ししたいものがあるし、さし上げたいものがあるから、三十日午後十時迄に、連絡して下さい。三十一日は、一日あいているようにきいてましたからと。何時でも何処でもいいと。五分間でいいのだと。
小母様、私はどうにもならなくなって、又生きる元気を失ってしまったのです。幸せになれると思ったのは束の間でした。二十二日から二十五日迄でした。私は、鉄路のほとりを愛しています。でも、それが真実
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