にいたらせる一つの原因にでもなるんでしょうから。一番大きな原因と云えば、勿論、厭世でもなく、愛情の破局ですけれど。
小母さん。今ちらと、小母さんと共にすごしたあのふんいきを思い出しました。いつもいつも花がありましたね。小母さんは花が好きな人。田中澄江さんという劇作家の人の作品には、必ずのように花が出てくるそうです。だけど、小母さんと花の方が、もっともっと近よったつながりがあるみたいだと思います。
さて、もとへ戻して。
小母さん。私は三人の人が私の心の中でメリーゴーランドのように、ぐるぐる私のまわりを舞い出しているのを、おだやかな気持で見てはいなかった。だけど、それは長くはなかった。私は新しく恋をした人に、すべて、私の心がひきずられてゆくようになったのです。青白き大佐とはよく会いました。だけど、まるで私はいつも他のことを考えてたようです。子供が生れたら、ピアニストにするんだなんて冗談を云いながら、私は、彼の子供なんか、生める筈はない。生みたいと思わない。と心の中で思ってました。だけど、気にかかることが一つあったのです。何故、彼が、すぐに結婚すると云わず、二十九年にしたかということで
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