う条件まで、すみでしたためたものです。ところが、私は、まるで冗談半分だったので、四五人の人に、結婚するんだと云いました。しかも、来年しますなどと。何故、大佐が結婚を昭和二十九年にしたかは、後ほどにまわします。だから私の過去の人に会った時、結婚するんだ。その人はかつて作曲家で、など云ったのは、まんざらでたらめでもなかったわけです。大佐は、私が、新しく恋をしていることも過去の人をまだ愛し、そのために苦しんでいることも知っているんです。京都での一夜の時も、大佐は傍に居ました。だけど私は平気でした。何故なら、大佐とは、お互いに惚れぬこと、などという条件があったのですから。それに私は、恋愛を結婚までもって行くことに反対してたんです。私のような、過激な、情熱のかたまりみたいな女は、恋愛して、そのまま結婚することは、とても出来ない。恋愛を生活に結びつけられないんですの。
 小母さん。それに、私には、三代目の家族が傍にあるのです。三代目の家族の一人なんです。有名な親をもち、有名な祖父、曽祖父をもち、貴族出の母親をもっているんです。その悲劇は、どうせ、このつづきにかきますから、今ははぶきましょう。私を死
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