も招待したんだぜ」
仁科六郎は一瞬たじろいた。
「まったく、いつまでたっても子供じみた女房だよ」
仁科六郎は蓬莱建介に心の中で感謝した。彼は、無事に終るようにねがった。
――阿難がかわいそうだ。僕はたか子にやさしくしなければならないのだから――
「まあ、大いにのもう。女房の御馳走は有難いもんだ」
蓬莱建介は、仁科六郎の気持をよく推察出来た。彼は、世間ずれしている。そして、臆病者である。事件をこのまない。だから、仁科六郎に親切したわけなのだ。
仁科六郎は、にこやかに妻たか子をみた。彼は、阿難がまだ来ていないことにほっとした。
「いたずらするんですね。蓬莱女史は、一しょに招待すればいいものを」
仁科六郎はたか子の横にこしかけた。蓬莱和子は、夫が喋ったことをすぐ感付いていた。
「びっくりさせようと思ってたくらんだのよ。ごめんなさい」
蓬莱建介は、ばらの花の枝にしばりつけてあるネーム・カードをみながら大きな声で云った。
「僕をふった女性はまだ来ないかね」
「お杉、来る筈よ。わざとおくれて来るんでしょう」
蓬莱和子は、ビールの栓をぬきながらこたえた。
「お杉ってどなたですの」
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