んのところへ、さっき寄ったのよ。六ちゃんは、とてもあなたを愛してるのね。すぐわかったわ。あなたはうちの旦那様からももてて、すごいじゃないの」
 南原杉子は、蓬莱和子が、しきりに自分を観察していることを愉快に思った。
「ねえ、あなたは、うちの旦那様どう思って?」
「いい方ですわ、いい御主人様ですわ、いい御夫婦ですわ」
「そうかしら、私、六ちゃんの夫婦は、とてもいい御夫婦だと思ってよ。あの人愛妻家よ」
 南原杉子はにこやかである。
「あなたは嫉かないの」
 南原杉子は、答えないで笑っていた。南原杉子は、仁科六郎の妻を知らない。知ろうともしない。彼女は、彼の妻のことを問題にしていなかった。阿難は、彼の妻に会えば、嫉妬するだろうから、知らない方が苦しみが少ないのだと思っていた。
「あなたはでも素晴しい方ね。あなたに、ひきつけられるのは、あなたの感覚ね」
 その時、南原杉子はふといたずらめいたことを考えた。
「一度、あなた御夫婦とのみたいわ」
 それには、蓬莱和子大賛成である。日はまだ決めることが出来ないが、近いうちにと約束した。蓬莱和子は夫の浮気が未完遂であることを感じた。そして本当に快活にな
前へ 次へ
全94ページ中67ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
久坂 葉子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング