た。王侍御はその情を知って心に喜んで、そしてひそかに夫人にいいつけて、小翠に行いを改めるように勧めさした。小翠は笑ってうなずいた。
翌年になって宰相は官を免ぜられた。ちょうどその時、秘密の手紙を王侍御に送って来た者があったが、それが誤って王給諌の許へ届いた。王給諌はひどく喜んで、その秘密の手紙を種に王侍御を恐喝《きょうかつ》して金を取るつもりで、先ず王侍御と仲の善い者にその手紙を持っていかして一万の金を仮らした。王侍御はそれを拒んで金を出さなかった。そこで王給諌が自分で王侍御の家へ出かけていった。王侍御は王給諌に逢おうと思って客の前へ着てゆく巾《ずきん》と袍《うわぎ》をさがしたが、二つとも見つからないので、すぐ出ることが[#「出ることが」は底本では「出ることか」]できなかった。王給諌は長く待っていたが王侍御が出て来ないので、これは王侍御が傲慢《ごうまん》で出て来ないだろうと思って、腹を立てて帰ろうとした。と、元豊が天子の着るような袞竜《こんりょう》の服を着、旒冕《そべん》をつけて、室の中から一人の女に推《お》し出されて出て来た。王給諌はひどく駭《おどろ》くと共に、王侍御を陥れる材料が
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