いながらにして見つかったので、笑顔をして元豊を旁《そば》へ呼んで、だましてその服と冕を脱がせ、風呂敷に包んでいってしまった。王侍御は急いで出て来たが、客がもう帰っていないので、訊いてみるとその事情が解った。王侍御は顛《ふる》えあがって顔色が土のようになった。彼は大声を出して哭《な》いていった。
「もうたすからない。大変なことになった。」
 王侍御は陽《ひ》に指をさして、我が一族が誅滅《ちゅうめつ》せられることは、この陽を見るよりも明らかであるといった。王侍御は小翠を殺しても飽きたらないと思った。彼は夫人と杖を持って小翠の室へいった。小翠はもうそれを知って扉を閉めて、二人が何といって罵《のの》ってもそのままにして啓《あ》けなかった。王侍御は怒って斧で扉を破った。小翠は笑いを含んだ声でいった。
「お父様、どうか怒らないでください。私がおりますから。罪があれば私一人が受けます。どんなことがあっても御両親をまぎぞえ[#「まぎぞえ」はママ]にはいたしません。お父様がそんなことをなさるのは、私を殺して人の口をふさごうとなさるのですか。」
 王侍御もそこで止めてしまった。家へ帰った王給諌は上疏《じょ
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