や」とかの女はさけんだ。「おまえさんが、あの人のたずねていなすった子どもかい」
「おお、あなた、知っているの」とわたしはむちゅうになってさけんだ。「ではバルブレンさんは」
「死にましたよ」と、かの女は簡潔《かんけつ》に答えた。わたしはハープにひょろひょろとなった。
「なに、死んだ」とわたしはかの女に聞こえるほどの大きな声でさけんだ。わたしはくらくらとした。いまはどうして両親を見つけよう。
「おまえさんがみんなの探《さが》していなさる子どもだね。そうだ、おまえさんにちがいない」とばあさんはまた言った。
「ええ、ええ、ぼくがその子です。ぼくのうちはどこです。わかりませんか」
「わたしはいま言っただけしか知りませんよ」
「バルブレンさんが、わたしの両親のことをなんとか言っていませんでしたか。おお、話してください」とわたしはせがむように言った。
かの女は天に向かって、高く両うでを上げた。
「ねえ、話してください。なんです。それは」
このしゅんかん、女中のようなふうをした女が出て来た。オテル・デュ・カンタルの女主人はかの女のほうへ向いた。
「たいへんなことではないか。この子どもさんは、この若
前へ
次へ
全326ページ中209ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
マロ エクトール・アンリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング