ました」
こう言ってわたしは背嚢《はいのう》から人形を出して、リーズのおとなりのいすにのせた。そのときのかの女の目つきをわたしはけっして忘《わす》れることはできない。
バルブレン
パリへ行くのを急ぎさえしなかったら、わたしはリーズの所にしばらく足を止めていたであろう。わたしたちはおたがいにあれほどたくさん言うことがあって、しかもおたがいのことばではずいぶんわずかしか言えなかった。かの女は手まねでおじさんとおばさんがどんなに優《やさ》しく自分にしてくれるか、船に乗るのがどんなにおもしろいかということを話した。わたしはかの女にアルキシーの働《はたら》いている鉱山《こうざん》で危《あぶ》なく死にかけたこと、わたしのうちの者がわたしを探《さが》していることを話した。それがためパリへも急いで行かなければならないし、エチエネットの所へ会いに行くことができなくなったことを話した。
もちろん話は、たいていお金持ちらしいわたしのうちのことであった。そうしてお金ができたときに、わたしのしようと思ういろいろなことであった。わたしはかの女の父親と、兄《あに》さんや姉《あね》さんたちをとり
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