うし》をもっと批評的《ひひょうてき》に調べ始めた。この雌牛は足が弱かったし、首が短すぎたし、角《つの》が長すぎた。肺臓《はいぞう》が小さくって、乳首《ちちくび》の形が悪かった。どうしてこれではたんと乳は出まい。
百姓《ひゃくしょう》はわたしたちが雌牛《めうし》のことをそんなにくわしく批評するので、きっと世話もよく行き届《とど》くだろうから、二百五十フランにまけてあげようと言った。
そうなるとわたしたちは心配になり始めた。マチアもわたしも、ではろくでもない牛にちがいないと思った。
「もっとほかのを見ましょう」とわたしは獣医《じゅうい》の手をおさえて言った。それを聞くと、百姓《ひゃくしょう》は十フランまけた。それからだんだんにせり下げて、二百十フランまできて、そこで止まった。獣医はわたしのひじをついて、いま雌牛《めうし》の悪口を言ったのは、本気ではない。ほんとうはすばらしい牛だという意をさとらせた。でも二百十フランはわたしたちにとってはたいした金であった。
そのあいだにマチアは雌牛《めうし》の後ろへ行って、そのしっぽから一本長い毛を引きぬいた。すると牛はおこって、かれをけりつけた。こ
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