《す》ぎて、わたしたちのやりかけた争論《そうろう》を中止させた。そして第三の雌牛《めうし》に向かった。この牛はほっそりしたすねをして、赤い胴《どう》に茶色の耳とほおをして、目は黒くふちをとって、口の回りに白い輪《わ》がはいっていた。
「これがおまえさんたちのお望《のぞ》みの牛だ」と獣医《じゅうい》が言った。
 まったくこれはすばらしかった。マチアとわたしは、今度こそなるほどこれがいちばんいいと思った。獣医《じゅうい》はその雌牛《めうし》のはづな(口につけて引くつな)をおさえていたにぶい顔の百姓《ひゃくしょう》に、その雌牛の値段《ねだん》はいくらかとたずねた。
「三百フラン」とその男は答えた。
 わたしたちのくちびるは下に下がった。ああ三百フラン。わたしは獣医《じゅうい》に向かって、ほかの牛に移《うつ》らなければという手まねをした。かれはまたかけ合ってみせるという合図をした。そのときはげしい談判《だんぱん》が獣医と百姓《ひゃくしょう》の間に始まった。わたしたちのかけ合い人は百七十フランまで値切《ねぎ》った。百姓は二百八十フランまでまけた。この値段《ねだん》まで下げてくると、獣医は雌牛《め
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