で相手《あいて》の返事をするのをおたがいに待たないのであった。ガスパールおじさんはかれらの変《へん》な様子には気がつかないようであった。この人たちは気がちがったのではないかしら。それだとどうしよう。
ふと、わたしは明かりをつけようと思った。油を倹約《けんやく》するため、わたしたちはぜひ入り用なときだけ明かりをつけることにしていたのである。
明かりを見ると、はたしてかれらはやっと意識《いしき》をとりもどしたらしかった。わたしはかれらのために水を取りに行った。もういつかしら水はずんずん引いていた。
しばらくしてかれらはまたみょうなふうに話をしだした。わたし自身も心持ちがなんだかぼんやりとりとめなく乱《みだ》れていた。いく時間も、あるいはいく日も、わたしたちはおたがいにとんきょうなふうでおしゃべりをし続《つづ》けていた。そののちしばらくするとわたしたちは落ち着いた。で、ベルグヌー[#「ベルグヌー」は底本では「ベリグヌー」]は、いよいよ死ぬなら、そのまえにわれわれは書置《かきお》きを残《のこ》して行こうと言った。
わたしたちはまたランプをつけた。ベルグヌーがみんなのために代筆《だいひつ
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