なしゅんかんが来た。わたしは急いてドアをおし開けて、できるだけ遠くへとんだ。運よく前へ出していたわたしの手が草にさわった。でも震動《しんどう》はずいぶんひどかったから、わたしは人事不省《じんじふせい》で地べたに転《ころ》がった。わたしが正気に返ったとき、わたしはまだ汽車の中にいると思った。わたしはまだ運ばれているように感じたのであった。そこらを見回して、わたしは馬車の中に転がっていることを知った。きみょうだ。わたしのほおはしめっていた。やわらかな温《あたた》かい舌《した》が、わたしをなめていた。少しふり向くと、一ぴきの黄色い、みっともない犬がわたしの顔をのぞきこんでいた。マチアがわたしのそばにひざをついていた。
「きみは助かったよ」とかれは言って、犬をおしのけた。
「ぼくはどこにいるんだ」
「きみは馬車の中だよ。ボブが御者《ぎょしゃ》をしている」
「どうだな」とボブが御者台から声をかけた。「手足が動かせるか」
 わたしは手足をのばして、かれの言うとおりにした。
「よし」とマチアは言った。「どこもくじきやしない」
「どうしたんだ」
「きみはぼくらの言ったとおりに、汽車からとび下りた。だが震動《しんどう》で目が回って、みぞの中に転《ころ》がりこんだ。きみがいつまでも来ないから、ボブが馬車を下りて、小山をかけ下りて、きみをうでにひっかかえて帰って来た。ぼくらはきみが死んだと思ったよ。まったく心配したよ」
 わたしはかれの手をさすった。
「それから巡査《じゅんさ》は」とわたしは聞いた。
「汽車はあのまま進んだ。止まらなかった」
 わたしの目はまた、そばでわたしをながめている、みにくい黄色い犬の上に落ちた。
 それはカピに似《に》ていた。でもカピは白かった。
「なんだね、この犬は」とわたしはたずねた。
 マチアが答える間もないうちに、そのみっともない小さな動物はわたしの上にとびかかった。はげしくなめ回して、くんくん鳴いていた。
「カピだよ。絵の具で染《そ》めたのだよ」とマチアが笑《わら》いながらさけんだ。
「染めた、どうして」
「だって見つからないようにさ」
 ボブとマチアが馬車の中にうまくわたしをかくすようにくふうしてくれているあいだに、わたしは、いったいこれからどこへ行くのだとたずねた。
「リツル・ハンプトンへ」とマチアが言った。「そこへ行けば、ボブのにいさんが船を持って
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