らをかぶった紳士《しんし》といっしょにならんだ。これがわたしの弁護士《べんごし》であることを知って、わたしはおどろいた。どうして弁護士ができたろう。どこからこの人はやって来たのだろう。
証人《しょうにん》の席《せき》には、ボブと二人の仲間《なかま》、「大がしの宿屋《やどや》」の亭主《ていしゅ》、それからわたしの知らない二、三人の人がいた。それから向《む》こう側《がわ》には五、六人の人の中に、わたしを拘引《こういん》した巡査《じゅんさ》を見つけた。検事《けんじ》は二言三言で、罪状《ざいじょう》を陳述《ちんじゅつ》した。セント・ジョージ寺で窃盗事件《せっとうじけん》があった。どろぼうはおとなと子どもで、はしごを登ってはいるために、窓《まど》をこわした。かれらは外へ張《は》り番《ばん》の犬を置《お》いた。一時十五分|過《す》ぎにおそい通行人が寺の明かりを見つけて、すぐに寺男を起こした、五、六人、人が寺へかけつけると、犬ははげしくほえて、どろぼうは犬をあとに残《のこ》したまま、窓《まど》からにげた。犬のちえはおどろくべきものであった。つぎの朝その犬を巡査《じゅんさ》が競馬場《けいばじょう》へ連《つ》れて行った。そこでかれはすぐと主人を認識《にんしき》した。それはすなわち現《げん》に囚人席《しゅうじんせき》にいる子どもにほかならなかった。なお一人の共犯者《きょうかんしゃ》に対しては、追跡《ついせき》中であるからほどなく捕縛《ほばく》の手続《てつづ》きをするはずである。
わたしのために言われたことはいたってわずかであった。わたしの友人たちはわたしが現場《げんじょう》がいなかったという証言《しょうげん》をしたけれども、検事《けんじ》は、いや、寺へ行って共犯者《きょうはんしゃ》に出会って、それから「大がしの宿屋《やどや》」へかけて行く時間はじゅうぶんあったと言った。わたしはそれからどうして犬が一時十五分ごろ寺にいたか、その理由を述《の》べろと言われた。わたしは犬はまる一日自分のそばにいなかったのだから、それをなんとも言うことはできないし、わたしはなにも知らないと申し立てた。
わたしの弁護士《べんごし》は、犬がその日のうちに寺に迷《まよ》いこんで、寺男が戸を閉《し》めたとき、中へ閉めこまれたものであるということを証拠《しょうこ》立《だ》てようと努《つと》めた。かれはわたしのため
前へ
次へ
全163ページ中140ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
マロ エクトール・アンリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング