《めいれい》するような調子で言った。「どろぼうは仲間《なかま》をはずれて、すみに行かなければならんぞ。夕食なしにねむらなければならんぞ」
 ゼルビノは席《せき》を去って、指さされたほうへすごすご出て行った。それでかれ草の積《つ》んである下にもぐりこんで、姿《すがた》が見えなくなったが、その下で悲しそうにくんくん泣《な》いている声が聞こえた。
 老人《ろうじん》はそれからわたしにパンを一きれくれて、自分の分を食べながら、ジョリクールとカピとドルスに、小さく切って分けてやった。
 どんなにわたしはバルブレンのおっかあのスープがこいしくなったろう。それにバターはなくっても、暖《あたた》かい炉《ろ》の火がどんなにいい心持ちであったろう。夜着の中に鼻をつっこんでねた小さな寝台《ねだい》がこいしいな。
 もうすっかりくたびれきって、足は木ぐつですれて痛《いた》んだ。着物はぬれしょぼたれているので、冷《つめ》たくってからだがふるえた。夜中になってもねむるどころではなかった。
「歯をがたがた言わせているね。おまえ寒いか」と老人《ろうじん》が言った。
「ええ、少し」
 わたしはかれが背嚢《はいのう》を開
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