のせいだよ」とかれは言った。「いずれユッセルへ着いたらくつを買ってやろう」
このことばはわたしに元気をつけてくれた。わたしはしじゅうくつが欲しいと思っていた。村長のむすこも、はたごやのむすこもくつを持っていた。それだから日曜というとかれらはお寺へ来て石のろうかをすべるように走った。それをわれわれほかのいなかの子どもは、木ぐつでがたがた、耳の遠くなるような音をさせたものだ。
「ユッセルまではまだ遠いんですか」
「ははあ、本音《ほんね》をふいたな」とヴィタリスが笑《わら》いながら言った。「それではくつが欲《ほ》しいんだな。よしよし、わたしはやくそくをしよう。それも大きなくぎを底《そこ》に打ったやつをなあ。それからビロードの半ズボンとチョッキとぼうしも買ってやる。それでなみだが引っこむことになるだろう。なあ、そうしてもらおうじゃないか。そしてあと六マイル(約四十キロ)歩いてくれるだろうなあ」
底《そこ》にくぎを打ったくつ、わたしは得意《とくい》でたまらなかった。くつをはくことさええらいことなのに、おまけにくぎを打ってある。わたしは悲しいことも忘《わす》れてしまった。
くぎを打ったくつ、
前へ
次へ
全320ページ中67ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
マロ エクトール・アンリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング