わ》の中にとびこんで、優《やさ》しい目で主人を見ながら軽快《けいかい》にとんだ。
「このとおりずいぶんりこうです」と老人《ろうじん》は言った。「それも比《くら》べるものができるとなおさらりこうが目立って見える。たとえばここにあれらと仲間《なかま》になって、ばか[#「ばか」に傍点]の役を務《つと》める者があれば、いっそうそれらの値打《ねう》ちがわかるのだ。そこでわたしはおまえさんのこの子どもが欲《ほ》しいというのだ。あの子にばか[#「ばか」に傍点]の役を務めてもらって、いよいよ犬たちのりこうを目立たせるようにするのだ」
「へえ、この子がばか[#「ばか」に傍点]を務《つと》めるのかね」とバルブレンが口を入れた。
 老人《ろうじん》は言った。「ばか[#「ばか」に傍点]の役を務めるには、それだけりこうな人間が入りようなのだ。この子なら少ししこめばやってのけよう。さっそく試《ため》してみることにします。この子がじゅうぶんりこうな子なら、わたしといっしょにいればこの国ばかりか、ほかの国ぐにまで見て歩けることがわかるはずだ。だがこのままこの村にいたのでは、せいぜい朝から晩《ばん》まで同じ牧場《ぼくじ
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