ょう》で牛やひつじの番人をするだけだ。この子がわからない子だったら、泣《な》いてじだんだ[#「じだんだ」に傍点]をふむだろう。そうすればわたしは連《つ》れては行かない。それで孤児院《こじいん》に送られて、ひどく働《はたら》かされて、ろくろく食べる物も食べられないだろう」
わたしも、そのくらいのことがわかるだけにはかしこかった。それにこの親方のお弟子《でし》たちはとぼけていてなかなかおもしろい。あれらといっしょに旅をするのは、ゆかいだろう。だがバルブレンのおっかあは……おっかあに別《わか》れるのはつらいなあ……
でもそれをいやだと言ってみたところで、バルブレンのおっかあとこの先いることはできない。やはり孤児院《こじいん》に送られなければならない。
わたしはほんとに情《なさ》けなくなって、目にいっぱいなみだをうかべていた。するとヴィタリス老人《ろうじん》が軽くなみだの流れ出したほおをつついた。
「ははあおこぞうさん、大さわぎをやらないのはわけがわかっているのだな。小さい胸《むね》で思案《しあん》をしているのだな。それであしたは……」
「ああ、おじさん、どうぞぼくをおっかあの所へ置《お
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