さないように気をつければよかった。
わたしは登りながら、優《やさ》しくジョリクールに話しかけた。かれは動かないで、目だけ光らせてわたしを見ていた。
わたしはほとんど手の届《とど》く所へ来て、手をのばしてつかまえようとした。するとひょいとかれはほかのえだにとびついてしまった。
わたしはそのえだまでかれを追っかけたけれど、人間の情《なさ》けなさ、子どもであっても、木登りはさるにはかなわなかった。
これでさるの足が雪でぬれていなかったら、とてもかれをつかまえることはできそうもなかった。かれは足のぬれることを好《この》まなかった。それでじきにわたしをからかうのがいやになって、えだからえだへととび下りて、まっすぐに主人の肩《かた》にとび下りた。そして上着の裏《うら》にかくれた。
ジョリクールを見つけるのはたいへんなことであったがそれだけではすまなかった。今度は犬を探《さが》さなければならなかった。
もうすっかり昼になっていた。わけなくゆうべの出来事のあとをたどることができた。雪の中でわたしたちは犬の死んだことがわかった。
わたしたちは十|間《けん》(約十八メートル)ばかりかれらの足あとをつけることができた。かれらは続《つづ》いて小屋からぬけ出した。ドルスが、ゼルビノのあとに続《ぞく》いた。
それからほかのけものの足あとが見えた。一方にはおおかみどもは犬にとびかかって、はげしく戦《たたか》ったしるしが残《のこ》っていた。こちらにはおおかみがえものをつかんでゆっくり食べて歩いて行った足あとが残っていた。もうそこには、そこここに赤い血が雪の上にこぼれているほかには、犬のあとはなにも残っていなかった。
かわいそうな二ひきの犬は、わたしのねむっているあいだに死にに行ったのであった。
でもわたしたちはできるだけ早く帰って、ジョリクールを温めてやらなければならなかった。わたしたちは小屋へ帰った。親方がさるの足と手を持って、赤んぼうをおさえるようにして、たき火にかざすと、わたしは毛布《もうふ》を温めて、その中へ転《ころ》がす仕度をした。けれども毛布ぐらいでは足りなかった。かれは湯たんぽと温かい飲み物を求《もと》めていた。
親方とわたしはたき火のそばにすわって、だまってまきの燃《も》えるのをながめた。
「かわいそうに、ゼルビノは。かわいそうに、ドルスは」
わたしたちは代
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