たのです。あの子のためなら、何でも買ってやってくれ、といわれていたのですからね。あの子は馬車も持っているし、小馬も持っているし、女中もつけてある。この前の送金があってからこっちは、私がみんなその費用を立てかえているのですよ。」
バアロウ氏は、それ以上ミンチン女史の愚痴話を聞こうとしませんでした。
「これ以上は、もうお支払いなさらんがいいでしょう。あの御令嬢に贈物をなさる思召しなら別ですがな。」
「ですが、私は、この際どうしたらいいのでしょう。」
女史は、バアロウ氏に処置をつけてもらうのがあたりまえだというように、訊ねました。
「どうするも、こうするもないですな。」バアロウ氏は眼鏡をたたんで、ポケットに入れました。「クルウ大尉は死んでしまったと。子供は食いつぶしになってしまったと。あの娘について責任のあるものがあるとすれば、あなたぐらいなものですな。」
「何で、私に責任があると仰しゃるのです。そんな責任は、断然おことわりします。」
ミンチン女史は、立腹のあまり蒼白くなりました。バアロウ氏は立ちかけて、気のない声でいいました。
「あなたが、責任をお持ちになろうと、お持ちになるまいと、
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