「これは、きっと本よ。」
 すると、アアミンガアドは
「あなたのパパも、お誕生日に本を下さるの? 私のパパとちっとも違わないのね。そんなもの開けるのおよしなさいよ。」
「でも、私は本が大好きなのよ。」
『最後の人形』は実に見事なものでした。少女達はそれを見ると、声をあげ、息もつまるほど喜びました。
「ロッティと大してちがわないくらいね。」
 いわれてロッティは手を叩き、笑いこけながら踊り廻りました。
「まるでお芝居にでも行くように盛装しているのね。」と、ラヴィニアまでいいました。「外套には貂の毛皮がついているわ。」
「あら、オペラ・グラスまで持っててよ。」とアアミンガアドは前へ出てきました。
「トランクもあるわ。開けてみましょうよ。」
 セエラは床に坐って、トランクの鍵を外しました。懸子《かけご》が一つはずされるごとに、いろいろの珍しいものが出てきました。たとえばレエスの衿飾《えりかざり》や、絹の靴下、それから首飾や、ペルシャ頭巾の入った宝石函、長い海獺《らっこ》のマッフや手套、舞踏服、散歩服、訪問服、帽子や、お茶時の服や、扇などが、あとからあとからと出てくるのでした。
 セエラは無心
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