にほほえんでいる人形に、大型の黒天鵞絨《くろびろうど》の帽子をかぶせてやりながら、こういいました。
「ことによると、このお人形には私達のいっていることが解るのかもしれないわね。皆さんにほめられて、得意になっているのかもしれないわね。」
すると、ラヴィニアは大人ぶっていいました。
「あなたは、いつもありもせぬことばかり考えているのね。」
「そりゃアそうよ。私空想ほど面白いものはないと思うわ。空想はまるで妖精のようなものよ。何かを一生懸命に空想していると、ほんとうにその通りになってくるような気がするものよ。」
「あなたは何でも持っているから、何を空想しようと御勝手よ。でも、万一あなたが乞食になって屋根裏に住むようになるとしたら、それでもあなたは、空想したり、つもり[#「つもり」に傍点]になったりしていられるでしょうかね。」
「私きっと出来ると思うわ。乞食だって空想したり、つもり[#「つもり」に傍点]になったり出来ないことはないと思うわ。でも、辛いことは、辛いでしょうねえ。」
そのとたんに、アメリア嬢が入って来ました。セエラはあとで思い返して、ほんとうに不思議なとたん[#「とたん」に傍点
前へ
次へ
全250ページ中78ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
バーネット フランシス・ホジソン・エリザ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング