にほほえんでいる人形に、大型の黒天鵞絨《くろびろうど》の帽子をかぶせてやりながら、こういいました。
「ことによると、このお人形には私達のいっていることが解るのかもしれないわね。皆さんにほめられて、得意になっているのかもしれないわね。」
 すると、ラヴィニアは大人ぶっていいました。
「あなたは、いつもありもせぬことばかり考えているのね。」
「そりゃアそうよ。私空想ほど面白いものはないと思うわ。空想はまるで妖精のようなものよ。何かを一生懸命に空想していると、ほんとうにその通りになってくるような気がするものよ。」
「あなたは何でも持っているから、何を空想しようと御勝手よ。でも、万一あなたが乞食になって屋根裏に住むようになるとしたら、それでもあなたは、空想したり、つもり[#「つもり」に傍点]になったりしていられるでしょうかね。」
「私きっと出来ると思うわ。乞食だって空想したり、つもり[#「つもり」に傍点]になったり出来ないことはないと思うわ。でも、辛いことは、辛いでしょうねえ。」
 そのとたんに、アメリア嬢が入って来ました。セエラはあとで思い返して、ほんとうに不思議なとたん[#「とたん」に傍点
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