んはセエラさんの物惜しみしない気持を、きっとうれしくお思いになることと存じます。そのしるしに皆さん、大きい声で『セエラさん、ありがとう。』と仰しゃって下さい。」
 皆は、いつかセエラが初めて来た時のように、いっせいに立ち上って、
「セエラさん、ありがとう。」といいました。ロッティなどは、いいながら高く飛び上ったほどでした。セエラは羞《はずか》しそうにもじもじしていましたが、やがて裾をつまんで、優雅な礼をしました。
「皆さん、ようこそお出で下さいました。」
「セエラさん、よく出来ました。」とミンチン先生は褒めました。「まるで宮様《プリンセス》が人民から『万歳』をあびせかけられた時とそっくりです。ラヴィニアさん、今あなたは鼾《いびき》のような声をたてましたね。セエラさんが嫉《ねた》ましいのなら嫉ましいで、もう少し上品に、嫉ましさを表したらいいでしょう。さ、皆さんは何でも好きなことをしてお遊びなさい。」
 先生の背後《うしろ》に扉《ドア》が閉されるや否や、少女達はまるで呪文を解かれたように、椅子から飛び出して、箱の周囲《まわり》に駈け集りました。セエラもうれしそうに、箱の一つを覗きました。

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