た。「泣くのはやめてちょうだいね。いい子だから、泣かないでね。後生だから。」
「うわア、うわア、うわア」ロッティは嵐のように吠え立てました。「おおおおおかあちゃん――い――いないィ!」
「この子は、鞭打ってやる。」とミス・ミンチンは宣告しました。「鞭で打ってやる。我儘者め。」
ロッティは更に大きな声を立てました。ミンチン女史の声も雷《らい》のようでした。とふいに、女史は裾を蹴って廊下に飛び出して来ました。女史はセエラを見ると、困った顔をしました。あの声を聞かれて困ったのでした。
「あら、セエラさん。」と、女史はつくり笑いをしました。
「私あのロッティちゃんだと思いましたので、立ち止って居りましたの。――それに、私あの、きっと――きっと、あの子なら鎮めてさし上げられるだろうと思いまして、行ってみてあげてもよろしゅうございますか? 先生。」
「出来るならやって御覧なさい。あなたは利口だから」先生は口を尖らしましたが、セエラが自分の剣幕に、おどおどしているのを見ると、急に顔をやわらげていいそえました。「あなたは何でもお出来になるから、きっとあの子の世話も出来るでしょう。お入んなさい。」
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