ともありませんでした。で、それ以来初級の少女達は、セエラを女神か女王様のように崇めはじめました。
ロッティ・レエなどは、しつこいほどセエラにつきまとうていました。セエラは母らしい気持を持っていましたので、別にうるさいとも感じませんでしたが、ロッティも早く母を失った一人でした。彼女は誰かが、母のない子は特別可愛がらなければならないといっているのを聞き、いい気になって我儘《わがまま》をつのらせました。若い父親は彼女をもてあましたあげく、学校にでも入れるより他ないと思って、ここに伴れて来たのでした。
セエラが初めてロッティの面倒をみてやったのは、ある朝のことでした。セエラがある部屋の前を通ると、誰かが怒って泣き喚く声と、それをおし鎮めようとしているミス・ミンチンと、アメリア嬢との声を聞きました。少女はなだめられるとよけい武者《むしゃ》ぶりついて泣き立てるのでした。さすがのミス・ミンチンもそれにはたまりかね、室外に聞えるほどの声で喚きはじめました。
「何で、泣くんです。」
「うわア、うわア、うわア、わたい――おおお母ちゃんがないイ!」
「まア、ロッティったら!」アメリア嬢は金切声を上げまし
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