た。
「でも、セエラ・クルウには一つこんな事があってよ。」と、ある時ジェッシイは正直にいったために、かえって仲よしのラヴィニアを怒らせたことがありました。「それは、セエラはちっとも偉がらないということなの。私がセエラなら、威張らずにはいられないけど。でも、ミンチン先生が、父兄にセエラを見せびらかすのを見ていると、胸がむかむかするわ。」
『さ、セエラさん、応接室へ行ってマスグレエヴの奥さんに印度のお話をして上げるのですよ。』ラヴィニアは、得意なミンチン女史の口真似を始めました。「『さ、セエラさん、ピトキン夫人にフランス語を聞かしてさし上げるのですよ。この子のアクセントは、それは確かなものでございますよ。』ですって、フランス語を学校で習ったわけでもないのにね。ただお父さんの喋ってるのを聞いてたから話せるというまでのことよ。それに、お父さんが印度の軍人だからって、ちっとも偉いことなんかありゃしないわ。」
「それはそうね。そのお父さんの殺した虎の皮が、セエラの部屋にあるのよ。セエラは毛皮の上に寝ては、頭の所を撫でたり、猫に話すように何かいいかけたりしているのよ。」
「あの子は、いつでも何かしら
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