、大人になりかけているからなのよ。」
 いつかアメリア嬢が、ラヴィニアに、あまり育ち方が早いので、気質《きだて》まで変り出しているのだろう、といっていたことがありました。セエラはそれを思い出して、こう云ったのでした。
 ラヴィニアはまったく不快な娘でした。彼女は一方《ひとかた》ならずセエラを嫉んでいました。セエラが来るまでは、彼女こそこの学校の首領だと思っていました。彼女は他の生徒達がいうことをきかないと、意地悪く当り散らすので、皆怖がって、仕方なく彼女に従っていたのでした。ラヴィニアはどちらかというと綺麗な方で、生徒が二列に並んで散歩に出る時などには、中で一番よい着物を着ていたのでしたが、今はセエラの贅沢な衣裳に押されている形でした。天鵞絨の服や、貂皮《てんがわ》の手套《マッフ》を着けたセエラは、いつもミンチン女史と並んで先頭に歩かされることになりました。セエラは初めはそれがいやでなりませんでしたが、いつかセエラは、事実上皆の上に立つようになりました。それももちろん、ラヴィニアのように意地悪をするからではなく、かえって決して意地悪などしなかったために、皆から敬われるようになったのでし
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