こんな金持の娘を失ってはならないという慾から、事ごとにセエラをほめそやして、学校生活をあかすまいとしました。セエラは幸い利発なよい頭脳《あたま》を持っていましたので、甘やかされてつけ上るような事はありませんでした。彼女は時々アアミンガアドにこんな事を打ちあけるようになりました。
「人はふとしたはずみで、いろいろになるものね。私はふとしたはずみ[#「はずみ」に傍点]から、あんないいお父様の子に生れたのね。ほんとうは私、ちっともいい気質《きだて》じゃアないのでしょうけど、お父様は何でも下さるし、皆さんは親切にして下さるんですもの、気質がよくなるより他ないじゃアありませんか。私がほんとうによい子なのか、いやな子なのか、どうしたらわかるでしょうね。きっと私は身ぶるいの出るほどいやな子なのよ。でも、私は一度もひどい目にあわなかったものだから、どなたも私のわるい所がわからないのだわね。」
「ラヴィニアだって、ひどい目になんかあわないけど‥‥」アアミンガアドはのろのろといいました。「でもあの人は、ほんとうにいやな人だわ。」
セエラは小さな鼻先を擦って、何かを思い出そうとしました。
「きっとあの人は
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