エラは顔を上げて、妙な微笑を見せながら、黒い髪を背後《うしろ》に振り上げました。
「でも、こうしてつもり[#「つもり」に傍点]になるお話なんかしていると、私いくらか楽なのよ。苦しいことは忘れられないにしても、いくらか耐えやすくなるでしょう。」
アアミンガアドは我知らず喉がつまって、涙のこみ上げて来そうな気がしました。
「ラヴィニアとジェッシイは仲よしなのよ。私達も仲よしになれればいいと思うの。あなた、私のお友達になって下すって? あなたはお利口で、私は学校中で一番出来ないのですけど、私はあなたがほんとに好きなのよ。」
「私も嬉しいわ。好かれていると思うと、うれしいものね。ほんとうに、これからお友達になりましょうね。」不意にセエラの顔は輝き出しました。「あたし、あなたのフランス語のおさらいをしてあげましょうね。」
四 ロッティ
セエラが普通の子供だったら、次の十年間ミス・ミンチンの学校で送った生活は、ちっとも彼女のためにならなかったかもしれません。セエラは、生徒というよりは、大事なお客ででもあるように待遇されていました。ミンチン女史は、心ではセエラを嫌っていましたが、
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