お皿のようになりました。ラヴィニアは席から乗り出して来ました。
「出て行け。たった今、自分の部屋に帰れ。皆さんは傍見《よそみ》せずに勉強なさい。」
 セエラはちょっと頭を下げ、
「笑ったのが失礼でしたら、御免下さい。」といい残して、教室を出て行きました。
「皆さん、セエラを見て? あの子の、妙な様子を見て?」ジェッシイがまず口を開きました。
「私だけは、セエラは身分のある子だということが今にわかっても、ちっとも驚きゃアしないわ。もしあの子がえらくなったら、どうでしょう。」

      十二 壁を隔てて

 壁つづきに出来た家並《やなみ》の中に住んでいますと、壁のすぐ向うの物音に、つい気をとられるものです。印度の紳士の家《うち》は、セエラの学校と壁一つで連《つなが》っていますので、セエラはよく紳士の生活を空想して、心を楽しませました。教室と、紳士の書斎とは、背中合せになっていますので、セエラは放課後など、やかましくはないだろうかと心配しました。音の通らないように、壁が厚く出来ていればいいがとも思いました。
 セエラは、印度の紳士がだんだん好きになりました。大屋敷が好きになったのは、家族が皆幸福そうだったからでしたが、印度の紳士は不幸そうに見えたので、好きになったのでした。紳士は何か重い病気が癒《なお》りきらない風でした。台所の人達の噂によると、彼は印度人ではなく、印度に住んでいたイギリス人で、非常な失敗のため、一時は命までも失いかけたというのでした。彼の事業というのは、鉱山に関したものだそうでした。
「その鉱山《やま》からダイヤモンドが出るんだとさ。」と、料理番はいいました。「鉱山《やま》なんてものはなかなか当るもんじゃアないさ。殊に、ダイヤモンドの鉱山《やま》なんてものはね。」彼は横眼でセエラをじろりと睨みました。「わしらは、誰だって、そんな事ぐらい知ってるさ。」
「あの方は、お父様と同様の目におあいになったのだわ。」と、セエラは思いました。「それから、お父様と同じ病気におかかりになったのだわ。ただあの方は生き残ったばかりだわ。」
 こうしたことから、セエラの心はますます印度の紳士の方へ惹き寄せられて行きました。夜お使に出される時など、窓から、あのお友達の姿が見られるかもしれないと思うと、何となしにいそいそしました。そこらに人影のない時には、セエラは鉄の格子につか
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