まって、彼に聞かすつもりで、「お休みなさい」といって見たりしました。
「聞えないにしても、きっと何かお感じにはなるわ。温《あたたか》い気持ってものは、窓とか、壁とか、そんな障碍物《しょうがいぶつ》を越えて、相手の心に通じるものだと思うわ。貴方はなぜか、和んで温くなるような気がなさりはしない? 私が外で、御病気のよくなるように祈っているからよ。私、あなたがお気の毒でならないの。お父様が頭の痛む時してあげたように、私、あなたの『小さい奥様』になって慰めてあげたいわ。お休みなさい、安らかに。」
セエラはそういうと、セエラ自身温められ、慰められるのが常でした。
「あの方は、今あの方を苦しめているもののことを、考えていらっしゃるようだわ。でも、もう失ったお金は戻ってきたのだし、御病気だってじきによくおなりになるのだから、あんな悩ましい顔をなさってるはずはないのに。きっと何か、別の御心配があるのよ。」
もし別の心配があるとすれば、あの大屋敷のお父さんだけは知っているはずだ、とセエラは思いました。モントモレンシイ氏は、よく印度の紳士を訪ねました。モントモレンシイ夫人も、子供達も、時々紳士を訪問しました。病人は、上の二人の女の子――あのセエラがお金をもらった時、馬車の中にいたジャネットとノラを可愛がっているようでした。病人は、子供に対して――殊に小さい女の子に対して、やさしい気持を持っているようでした。ジャネットとノラも、非常に病人になついていました。
「小父様《おじさま》は、お気の毒な方なのよ。私達が行くと、小父様は元気が出るのですって。だから、静かにしていて、元気のつくようにしてあげなければならないわね。」
ジャネットは長女でしたので、弟や妹が暴れ出さないように、気をつけていました。病人の様子を見て、よい時には印度の話をしてもらったり、疲れたようだと思うと、あとをラム・ダスに頼んでそっといとまを告げたり、そんな気使いをするのもジャネットでした。子供達は皆ラム・ダスが好きでした。ラム・ダスに英語が話せたら、きっと面白い話をたくさんしてくれるだろう、と思っていました。
印度の紳士は、名をカリスフォドといいました。ある時、ジャネットが彼に『乞食じゃアない小さな娘』に出会った時の話をすると、カリスフォド氏はひどく心を惹かれたようでした。更にラム・ダスが、彼女の屋根裏部屋で猿を捕
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