私がいていけないなら、奉公に出るよ。奉公によ。」妹は眼に涙をためて足をいじっていた。
 ああ闘牛士の様に道楽の混った犬殺し、不当な社会へ対する「復讐の代償」として、あの可愛らしいテリヤとセッターの混血児を殺す青年、之は確かに悪い、そして非常に悪いものに相違なかった。

   手妻の卵

 犬殺しを廃してから、私の収入は全く絶えて了った。私は時とすると、もう一度帽子を目深く冠るあの商売に入ろうかと思った。けれど結局他の考えが優越した。私は妹を奉公に出した。彼の女の行った先は郊外にあるやれ果てた病院であった。恐らく彼の女は、その病院の洗濯婦と、院長の宅の飯炊とを兼ねねばならなかったのである。此の激務に堪える事の出来る女は白痴か、さもなくば異常に体力の大きいものでなくてはならなかったので、院長は妹の白痴であることを少しも気に掛けぬ所か、むしろ其れを幸いにしているらしかった。私は妹の給料に就いて、何の要求もしなかったが、それにも拘らず、院長は六ケ月分の給料を前払いにしてやっても好いと申し出して呉れた。私は七円の六倍即ち四十二円を痩せこけた院長の手から受け取ると、妹の為めに幾枚かの着替を買いとと
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