吾妻鏡の性質及其史料としての價値
原勝郎

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(例)※[#「りっしんべん+夢」の「夕」に代えて「目」、第4水準2−12−81]
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 吾妻鏡が鎌倉時代史の貴重なる史料なることは苟も史學に志ある者の知悉する所たり、若し未同書に接せざる人あらば史學會雜誌第一號に掲げたる星野博士の同書解題をよみて後同書を一讀せられよ、其記事の比較的正確にして且社會諸般の事項に亘り、豐富なる材料を供給すること多く他に類をみざるところなり。然れども同書は其性質及其史料としての價値に至りては未充分の攻究を經ざるものあるに似たり、今少しく愚見を陳して以て大方の是正を仰がんと欲す、敢て斷案を下すと云ふにあらざるなり。
 史料の批評に二樣の別あり、第一其外形よりするもの、第二其内容よりするもの是れなり、外形上の批評とは其紙質墨色書體よりするものにして、史家の史料に接するに當りて先甄別を要する所の條件なり、然れども此種の批評のみにては未盡くせりと
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