も、若既に一事件を記載したりとせば同種類の事件再出來する時は、特別なる事情あるにあらざるよりは、必ずこれを記すべきは至當の事にして、其繁簡の度も一樣なるべき筈なり、吾妻鏡中文治以前の小説的記事多き部分は今之を措き、其他の部分に就きて之を見るも體裁の不揃なること驚くに堪へたり、年處を經るに從ひて浩瀚の書の殘闕を生ずるは自然の事なれば、吾妻鏡の同一運命に遭遇せること素より怪むに足らざれども、一ヶ月以上の連續せる脱漏あるにあらずして、然かも一ヶ年中僅かに四五日の記事あるもの多きに至りては、余はこれを以て單に散佚の結果ありと信ずること能はざるなり、此の如きは正治建仁の際に於て殊に甚しきを見るなり、今左に正治三年より建仁三年まで吾妻鏡に見ゆる日數を示すべし
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正治三年(建仁元年)
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正月、三日、 二月、四日、 三月、五日、 四月、三日、
五月、四日、 六月、四日、 七月、二日、 八月、三日、
九月、九日、 十月、七日、十一月、二日、十二月、五日、
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合計 五十一日
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建仁二年
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正月
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