めた。モーゼスが心霊上の諸問題に、興味を持つことになったのもその前後で、医師のスピーア博士と共に、頻《しき》りに死後の生命の有無、その他人生諸問題につきて討究を重ねた。彼の宗教心は飽くまで強いのであるが、しかし在来の神学的ドグマは、到底彼の鋭利《えいり》直截《ちょくさい》なる研究的良心を充たすに足りなくなったのであった。彼は自身霊媒たる前に、片端から知名の霊媒の実験に臨んだ。即《すなわ》ち一八七二年、ロッテイ・ファウラアの実験を行い、つづいて名霊媒ウィリアムスの交霊会にのぞみ、次第に心霊事実の正確なることを認むるに至った。その中|不図《ふと》したことで、彼自身霊媒能力を発揮した。
モーゼスの本領は自動書記であるが、しかし彼は、稀に見る多方面の霊媒であった。彼を通じて起った、主なる心霊の現象を挙ぐれば、(一)大小の敲音、(二)種々の光、(三)種々の香気、(四)種々の楽声、(五)直接書記、(六)卓子《テーブル》、椅子其他物品の浮揚、(七)物品引寄、(八)直接談話、(九)霊言、等を数えることができる。
かかる霊媒現象が起りつつある間に、彼は幾多の学界の創立に関与し、殊《こと》に一八八二年
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