いかなる状況の下に、いかなる信仰形式を採ることになったか、その真相が、われ等にはよく判って居る。故にわれ等は之《これ》を軽視はせぬ。が、形式は要するに末で、真理が根源である。優れた霊魂は、皆地上生活中に信奉せる教義から超脱して一路向上の途を辿っている。われ等は人間の好む繁瑣《はんさ》なる議論を好まない。われ等はかの地上の神学を特色づける、神秘につきての好奇的|穿鑿《せんさく》を求めない。霊界の神学は飽までも単純で知識的である。われ等は単なる暗中摸索を尊重しない。われ等は宗派的論争には興味を有《も》たない。何となれば、そはただ怨恨、嫉妬、悪意、排他的感情の原動力以外の何物でもないことを知っているからである。
 われ等が宗教を論ずるのは、宗教がわれ等と汝等との生活に、直接の関係を及ぼすからである。人間――われ等の観る所によれば、人間は矢張り不滅の霊魂の所有者であるが――の地上生活は、言《い》わば第一期の初等教育で、ここで簡単なる任務を遂行すべく教えられ、一層進歩せる死後の世界の高等教育に対する準備を整える。彼は幾つかの不可犯の法則によりて支配せられる。若《も》しこれを犯せば、彼を見舞うもの
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