決して神学的ドグマから超脱し切れず、何回となく霊達に向って抗争を試みた位であった。霊達の世迷言は全く同情に値する。
翻《ひるがえ》って日本の現状を観ると、今尚お暗雲低迷、一方に古経典《こきょうてん》の講義でもすることが、信仰上の最大急務と思い込んで居るものがあるかと見れば、他方には理性の批判に堪《た》えないどころか普通の常識にも負くるような、愚劣低級な囈語《げいご》を以《もっ》て、神懸りの産物なりと唱え、大なり、小なり始末に負えぬ特殊部落を作って、神聖なる国土を汚している連中が甚《はなは》だ多い。モーゼスの背後の霊をして批評させたら、果して何と言うであろうか?
[#ここで字下げ終わり]
[#改ページ]
第八章 神霊主義
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
問『霊界の指示は、余りにも正統派の教条と、相反する点が多いと思われるが…………。』
[#ここで字下げ終わり]
霊界居住者の主張[#「霊界居住者の主張」に白丸傍点]――爾《なんじ》はわれ等の伝達する教訓が、在来の所謂正統派の教条と、相反する箇所の多きを認め、これに反対の態度を執ろうとするが、これは極めて重大事
前へ
次へ
全104ページ中67ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
浅野 和三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング