味と能力」に白丸傍点]――夫婦関係が永続すると否とは、全然趣味と能力とが、均等に発達しているか否かにかかっている。若《も》しも右の二つが揃って居れば、死後の夫婦は互いに[#「互いに」は底本では「亙いに」]手を携えて、向上の途《みち》を辿ることができる。少くともわれ等の境涯に見出さるる一対の男女は、趣味と能力とが一致して居《お》り、互いに扶け合いつつ、進歩の階段を上昇することのできる人達である。われ等には霊的教育がすべてである。従って進歩の所縁《よすが》となるべき関係以外は、全然その存在を認められない。かの徒《いたず》らに地上生活を陰惨《いんさん》ならしめ、徒《いたず》らに魂の発達を阻害する人為的束縛は、肉体の消滅と同時に、跡方もなく断絶する。之《これ》に反して、魂と魂との一致によりて堅く結ばれたる夫婦関係は、肉体の羈絆《きはん》を脱した暁《あかつき》に於《おい》て、更に一層の強度を加える。二つの魂を包囲する愛の絆《きずな》こそは、相互の発達を促す最大の刺戟であり、従って両者の関係は永遠に伝わって行く。それは過去に於《おい》て、たまたま両者の間に関係があった為めというよりも、寧《むし》ろ
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