健全円満で、感覚が敏活で、其《その》上心が受動的である理想的な一人物を連れ来れ。その時は予想以上の花々しい仕事ができる。更に又|座《サークル》を組織する立会人達の気分が、充分調和していてくれれば一層申分がない。交霊会の席上に出現する燐光でさえもが、右にのぶる如き好条件の下にありては、青く冴え亘って煙がない。之に反して条件が悪ければ其《その》光が鈍く汚く燻《くすぶ》っている。
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註――当時モーゼスの交霊会上には沢山の燐光が現われ、好条件の時にはその色が透明で、青味がかった黄色であり、然《しか》らざる時は赤っちゃけて燻《くすぶ》っていたとの事である。
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(評釈) 爰《ここ》に説いてある所は、正に幽明交通に関する、最も親切にして、要領を掴める虎の巻と称しても、決して過言でないと思う。心霊実験に何の理解も経験もない者は、きまり切って霊媒のみを責め、すべてがこれに掛っているように考えるが、これは飛んでもない心得違いである。環境が悪ければ、いかなる名霊媒だって施す術がない。それは恰度《ちょうど》空中放電その他
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