だ不向きで、強いて之《これ》を行えば、霊媒の肉体を毀損する患がないでもない。尚お日曜日が不適当な事につきては、他にも特殊の理由がある。汝達の気づかぬ環境の悪化――これがわれ等の仕事を困難ならしめるのである。食事の直後に実験を行う事の不利は、すでに汝の熟知せる所であろう。要するにわれ等の求むる所は、受動的の敏感性であって、かの怠慢と無感覚より来る所の、単なる受動的状態ではない。刺戟性の酒類を飲みながら、鈍重な食物で胃腸を充たした時に必ず随伴する、かのうとうとした状態――われ等に取りて、これ以上始末におえぬ状態はめったにない。刺戟性の飲料は、或《あ》る場合には、物理的表現の補助となるかも知れない。が、それはわれ等にとりて大々的障害である。何となれば、それは物慾に捕われたる悪霊の為めに門戸を開くからで、われ等の懸命の努力も、到底|之《これ》をいかんともすることができない。座《サークル》を組織する立会人中の、ただの一人がそれであった丈でも、しばしば万事水泡に帰せしむることがないではない。之《これ》を要するに日曜日は、心身の安逸と、過度の飲食から来る、無気力無感覚とが伴い勝ちであるから、心霊実験
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